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「こんにちは」

僕は声をかけた。
少女は答えない。
ベッドと同色の、まっしろな少女。
眠たげな黒く濁った瞳だけが、柔らかな少女の雰囲気に釣り合っていない。
少女は動かず、じい、とこちらを見つめている。
 
この少女が、僕にとっての特別である。
この病院のなかで、彼女だけが腐ってみえない。
ただ、白い。
単色。
僕の憧れ。
 
 
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