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僕は、自分の病室を出て、施設の廊下を歩いている。
染み一つない、白い壁。
広くて、清廉とした、無臭の廊下。
僕の他には、だれもいない。
みんな、見えない。
鉄格子の刺さったガラス窓からは、外が見えない。
ぐにゃぐにゃと空を漂っている黒い太陽の、絵が見える。
日光はない。
目眩がした。
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