015 back_TOP
僕は、自分の病室を出て、施設の廊下を歩いている。
壁に見える無数の灰色の染みが、僕を睨んでいる。
広くて、窮屈な、嫌なにおいのする廊下。
僕の他にも、この廊下を歩いているひとはいる。
みんな、ひとりのように見える。
鉄格子の刺さったガラス窓から、外が見える。
絵のような、白い太陽が、ぐにゃぐにゃと空を漂っている。
赤色の日光が、眩しい。
目眩のする色合いだった。
 
思案にふける。
今、僕の横を通り過ぎた男のひと。
あの人には、ここの景色はどう見えているのだろう。
ここは今、どんな景色なんだろう。
 
やっぱり、腐っているのだろうか。
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