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その部屋は、壊れていた。
縦横無尽に張り巡らされた、赤錆色の管。
べっとりとした赤色が染みついた、黒の壁紙。
世界から隔離された部屋。
生きるためだけの部屋。
腐食した点滴が、こぽこぽと音を立てて管の中へ流し込まれてゆく。
踏み出した一歩の足裏が捉えた、どろどろの肉のかたまり。
部屋の中心に、黒色のベッド。
そこに座っているのは、少女。
 
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